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災害事例(ケガを防ぐために)

日本フルハップ
会員広報誌「まいんど」
2025年2月号より

日本フルハップは、仕事中・仕事外を問わず、24時間中のケガに対する補償を行っています。令和5年度の補償発生件数は22,306件で、そのうち「激突」による事故は1,273件発生しています。

今回は、災害(事故)防止の参考としていただくため、鉄工所での作業中に発生した激突事故の事例をご紹介いたします。

【事例】

とある鉄工所で、製品の設計や加工、組み立て作業に長年にわたり従事しているAさん(64 歳・男性)は、これまで狭いスペースや障害物が多い作業場で業務を行ってきましたが、大きな事故が発生したことはありませんでした。

この日も、Aさんはいつものように製品の組み立て作業を行っていましたが、ふとした拍子に部品のひとつを落としてしまい、工場の隅の方まで転がっていきました。
部品を探すことに手間取ったため、早く作業に復帰しようと慌てて勢いよく立ち上がったAさんでしたが、工場の隅のため照明の光が直接届かず薄暗かったことで、頭上に置かれていた鉄資材に気が付かず、角に思い切り頭をぶつけてしまいました。

作業時にはいつもワークキャップをかぶっており、ヘルメットは着用していなかったため、右側頭部をじかにぶつけてしまう形となり、当初は意識を失う状況でしたが、すぐに意識は回復し、救急搬送された総合病院で「頭部皮ふ欠損創」と診断され、手術を受けることになりました。
幸い大事には至らず、2週間の入院を経て退院することができました。現在、Aさんは以前のように仕事に復帰していますが、この事故をきっかけに職場の環境が見直され、ヘルメット着用の厳守や資材等の整理、照明機器の増設や定期的な点検が行われることになりました。

ケガを防ぐために

今回の事例では、薄暗く、障害物の多い作業場にもかかわらず、安全対策を講じていなかったことで、重大な事故につながりました。

安全に作業を行うために、次のポイントに気を付けましょう。

作業場における「視環境」
作業場内の「視環境」は、作業の快適性や作業能率に大きな影響を与えるため、適切な照度であることが求められます。また、近年では高年齢労働者が増加しているため、必要に応じて個々の労働者に眼鏡などで視力の矯正を促すことも重要です。

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)をご存じでしょうか?

「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害があったとすると、29回の軽傷、傷害のない事故を300回起こしている。」というように、1件の重大な災害の背後には、多くのヒヤリハットが隠れていることを示すものです。

つまり、ヒヤリハットのような軽微な事故が発生した時点で、再発防止に繋がる対策を講じることが、職場の安全確保に有効であるといえます。

例えば、今回の事例では、作業場における照明機器の設置と照度が十分にあれば、重大な災害を防げたかもしれません。
また、長年従事する作業への慣れや油断が、ヘルメットの着用を怠ったり、障害物等の危険要因を見逃したりすることにつながり、災害を招いたともいえます。
いま一度、身の回りの視環境を見直すとともに、ヒヤリハットを経験したら、情報をできるだけ把握し、迅速、的確にその対策を講じることが大切です。

日本フルハップでは、業務で使用する「照明機器」のほか「保護帽(ヘルメット)」等の安全保護具を災害防止助成の対象としています。

災害防止事業「職場の安全を確保するための助成」