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避難経路の確保

もしもに備えて避難経路を周知しましょう

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

職場の状況をチェック

2022年2月、新潟県にあるお菓子メーカーの工場で火災が発生し、従業員6名が逃げ遅れて死亡しました。この6名は夜間勤務の労働者で、工場で実施する避難訓練には参加していませんでした。被害が大きくなった原因のひとつは、断熱材として天井付近に吹き付けられていた発泡ポリウレタンが燃えて火のまわりが早かったこと。もうひとつは、火災で防火シャッターが降りたために出口がわからなくなり、逃げ遅れたためと考えられます。避難経路を知っていれば、その6名は命を失わずに済んだかもしれません。
避難経路を確保し、従業員に周知することが重要です。注意事項をご紹介しますので、この機会に職場の状況をチェックしてみてください。

避難経路の標識などを設置する

防火シャッターが閉まったときの避難経路を図示していても、火災などで停電してしまうと、暗くて読めません。避難訓練を行うことで、アルバイト等を含めた従業員全員に、避難経路をしっかりと理解してもらいましょう。また、避難通路は十分な幅を確保し、避難の障害になるような物は絶対に置かないようにしてください。
工場内では、避難口誘導標識や通路誘導標識を見やすい場所に設置しましょう。室内の上部に取り付けられるケースが多いのですが、煙が上部に充満すると見えにくくなります。床面にステッカーを貼ると有効です。夜間でも見えるように、発光型または蓄光型の標識にしましょう。

標識の設置イメージ 標識の設置イメージ

そのほか、以下の対策があります。

❶非常灯の配置

非常灯は、電源が遮断されたときに内部のバッテリーで点灯します。夜間の災害や停電時に、暗いなかでも冷静な判断ができるよう、ぜひ設置しておきましょう。

❷逃げ遅れた際の避難器具

火災発生時には、ビル内のエレベーターは使用できません。逃げ遅れたり階段からの避難ができないときのために、避難ハシゴや緩降機、救助袋などの場所と使用方法を周知・徹底しましょう。
ただし、避難ハシゴ等を降りる訓練中に従業員が転落する事故なども起きています。訓練は、地面にマットを敷くなどして慎重に実施してください。

火事を起こさないことが何より大事ですが、万が一に備えて複数の避難経路を確保し、非常口への誘導表示や非常灯を備えましょう。