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化学防護手袋の選択

化学物質の危険性・有害性に適合した手袋を選びましょう

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

皮膚等障害化学物質等への直接接触を防止

「塗料が手に付いたらシンナーで洗う」ことが、以前はごく当たり前に行われていました。しかし、シンナー類は皮膚から浸透・吸収されるため、非常に有害です。平成27年には、染料や顔料のもとになるオルト-トルイジンという化学物質が皮膚に付着したことが原因となり、複数の労働者が膀胱がんを発症したことが判明しました。また、平成30年の化学物質による災害のうち、半数以上が皮膚障害となっています。こうした現状を踏まえて労働安全衛生規則が見直され、以下のように義務付けられました。

「皮膚・眼刺激性、皮膚腐食性又は皮膚から吸収され健康障害を引き起こしうる有害性に応じて、当該物質又は当該物質を含有する製剤を製造し、又は取り扱う業務に労働者を従事させる場合には、労働者に皮膚障害等防止用保護具を使用させること」
(令和6年4月1日施行)

【皮膚障害等防止用保護具とは】

【保護具着用義務の範囲】

保護具着用義務の範囲確認チャート

●確認方法

健康障害を起こすおそれのある化学物質を見極めるためには、SDS(安全データシート)を確認する必要があります。「皮膚腐食性・皮膚刺激性」、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」、「呼吸器感作性または皮膚感作性」に該当するもの(下記GHSシンボルマーク参照)は、化学防護手袋や保護眼鏡等が必要となります。

皮膚障害に関連するGHSシンボルマーク

化学防護手袋の選択・使用における注意点

化学物質を製造または取り扱う場合、軍手は繊維の隙間があるため適さず、ゴム製の手袋も安全とは限りません。材質によっては手袋の素材を透過し、皮膚に健康障害を起こすことがあるため、材質選びも重要です。取り扱う化学物質に対する耐透過性能については、メーカーの取扱説明書の耐透過性クラスなどを参考に、作業性も考慮して選択しましょう。なお、保護具の選択は、令和6年4月1日より保護具着用管理責任者の職務とされています。
化学防護手袋は、作業中に傷がつきやすいものです。傷や孔が認められたら、ただちに交換しましょう。また、変色したものは、すでに化学物質が透過していることを示します。すぐに交換してください。

化学物質に直接触れない場合も、化学物質が飛び散ることもあります。適合した化学防護手袋や保護眼鏡などを着用して、皮膚や眼を守りましょう。