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石綿対策と石綿障害予防規則の改正

施工業者だけでなく、発注者にも責任があります

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

施工業者は規則にのっとった事前調査などの実施を

石綿(=アスベスト)とは天然の繊維状鉱物の総称で、吸入すると肺がん、中皮腫などの発症要因となる可能性があります。平成18年9月以降、石綿を含む製品の製造・輸入・使用などが禁止されましたが、それ以前に着工した建築物等には使用されている場合があり、解体工事などでは注意が必要です。
石綿を安全に取り扱い、健康障害を予防するため、石綿障害予防規則などの関係法令が定められています。工事を行う施工業者は、これらの法令に従って作業を実施してください。工事開始前のポイントは次のとおりです。

(1)事前調査

解体・改修工事を行う際は、石綿が使用されていないか事前確認を行う義務があり、石綿障害予防規則改正にともない、令和5年10月1日より建物等の事前調査には資格が必要となりました。厚生労働大臣が定める講習を修了した者が行ってください。そして、施工業者は調査の結果を発注者に報告するとともに、作業場に掲示し、作業者にも周知しましょう。
一定規模以上の解体・改修工事の場合、石綿の有無を問わず、石綿事前調査結果報告システムによる報告が義務づけられています。

※解体部分の延べ床面積が80㎡以上、改修工事の請負金額が100万円以上など。

(2)作業計画の届出

石綿が含まれている建築物の解体や改修を行う際は、工事開始の14日前までに、その計画内容を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。計画届と次の添付資料の提出が必要です。

  1. ①解体工事を行う場所の周囲の状況及び四隣との関係を示す図面
  2. ②解体等を行う建設物等の概要を示す図面
  3. ③工事用の機械、設備、建設物等の配置を示す図面
  4. ④工法の概要を示す書面又は図面
    • 石綿使用建築物等解体作業の方法と順序
    • 石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法
  5. ⑤労働災害を防止するための方法及び設備の概要を示す書面又は図面
    • 労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法
  6. ⑥工程表(工事全体及び石綿除去に係る工程表)

発注者は調査に必要な情報提供を

石綿障害予防規則などの関係法令は、工事を発注する側にも適用されます。事前調査が適切に行われるよう、発注者は石綿の有無を確認するうえで有用な情報(設計図書など)を施工業者に提供してください。また、石綿が使われていた場合には、石綿除去等の工事に必要な費用や工期、作業の方法などの発注条件について、施工業者が法令を遵守して工事を行えるように配慮しましょう。

■事前調査の流れ

発注者 設計図書などの情報提供→施工業者 事前調査の実施・結果の報告

その他詳細については、石綿障害予防規則または、厚生労働省の「石綿総合情報ポータルサイト」で確認してください。

石綿による健康障害を防ぐため、適切な石綿対策を行うことが必要不可欠です。工事の発注者、施工業者ともに必要な措置を講じましょう。