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職場の危険を“見える化”

自然に危険を回避し安全を守るナッジ活動のすすめ

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

目印や色分けで安全行動を促す

「ナッジ」とは英語で「ひじで小突く」「そっと押して動かす」などの意味があり、行動科学の知見から、望ましい行動がとれるよう後押しする手法のことです。
罰金・罰則を用いるのではなく、「人が意思決定する際の環境をデザインする」ことで「自発的な行動変容を促す」という点で、労働安全衛生分野でも注目されています。厚生労働省の「『見える』安全活動コンクール」でも、令和3年度からナッジ活動事例が募集対象となっています。
ナッジを活用した「見える化」事例をご紹介しますので、職場に取り入れてみてはいかがでしょうか。

❶障害物を置き、段差を回避させる

部屋の出入口に少し段差があり、ドアを開けてすぐに曲がると段差に引っかかり転倒するなどの危険性があった。

カウンターや植栽を置くことにより、自然にスロープを利用するように誘導しています。

段差回避のイメージ

❷ドアの開閉範囲を示す

外側に開くドアがあり、通行している際、ドアが急に開いて接触する危険性があった。

ドアが開く範囲を床に表示することで、自然に避けて歩くように誘導しています。

ドアの開閉範囲のイメージ

❸つまずく危険があるところに気付かせる

オフィス常設のホワイトボードは脚部分が小さいため、気付かずに足を引っかけることがよくあった。

脚部分をオリジナルのカバーで覆うなどして形状を大きくし、自然と避けて歩くように誘導しています。

脚部分をオリジナルのカバーで覆うイメージ

❹クレーンの動きを可視化する

機械音が大きい職場では、クレーンの動作音に気付かず、接触する危険があった。

LEDの光によりクレーンの接近に気付かせ、回避するように誘導しています。

危険ゾーン明示のイメージ

クレーン下に光を照らし危険ゾーンを明示

危険を回避するためには、自然に回避行動がとれるような配慮が重要です。ちょっとした工夫で安全性が高まります。従来の「気をつけよう」という指導に加えて、ナッジの視点による職場改善にも取り組みましょう。