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振動障害対策

冬は振動障害リスクが上昇

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

振動を受ける量と気温などの作業環境に注意

振動障害とは、チェーンソー、グラインダー、刈払機など、大きく速く振動する工具の使用により生ずる、手指等の末梢循環障害、末梢神経障害および運動器(骨、関節系)障害の総称です。最近は製造業や建設業などの振動工具取り扱い者にも発生しています。

  1. 末梢循環障害:振動によって手指の血管が細くなり血流が悪くなることで、手指が白くなります。それが繰り返されると、指が白いままの状態になる、レイノー現象※1が起こります。
    末梢循環障害イメージ

    ※1 冷えやストレスなどの刺激が生じた際に血管の一過性収縮により手指が蒼白化する現象。数分~30分程度で回復するが、その過程で痛みやしびれをともなうことが多い。

  2. 末梢神経障害:振動によって神経の働きが悪くなり、手や腕のしびれ、痛み等の症状が出ます。
  3. 運動器障害:骨や関節、筋肉に工具の振動が伝わって、手や腕が痛み、動きが悪くなり、力が入らなくなったり汗が出やすくなったりします。

要因は右上表のとおりで、「寒冷」も影響を及ぼします。気温が低いと血液の循環が低下して手が冷たくなり、悪化を引き起こします。同様に、振動によっても血液の循環は低下し、手が冷たくなってさらに悪化します。このように寒い季節の振動作業は血液循環が悪くなる条件が重なるため、振動障害が発生しやすくなります。とくに、寒い時期に振動工具を使用する現場では注意しましょう。

■障害につながる要因

振動操作 作業環境
  • 振動ばく露量
    振動レベル+作業時間
  • 労働条件
    作業時間、作業密度
  • 寒冷

■振動障害対策

  1. ❶振動工具を選択する際は、振動レベル(周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値※2)の小さい工具を選択しましょう。メーカーの取扱説明書等で確認してください。
    ※2 前後・左右・上下の3方向の加速度より求めた値。
  2. ❷1日の振動ばく露量が高くならないように、ばく露時間を管理する。振動ばく露量の算出等については、厚生労働省の「振動障害の予防のために」(P3〜P5)を確認してください。
  3. ❸振動工具用の防護手袋を着用する。
  4. ❹防寒対策として防寒着着用や休憩場所の暖房設備を整備する。
  5. ❺振動工具を使用する労働者に対して、特殊健康診断を実施し、振動障害の早期発見に努めてください。

従業員に対し、振動工具による健康障害について安全衛生教育を行いましょう。また、振動工具取扱時間の上限を定めて、それを超えないようにしましょう。