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化学物質の保管・輸送時等の注意事項

容器の破損や漏洩、火災に注意

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

化学物質の注意事項を知って事故防止

化学物質には、化学反応を起こしたり、接触すると影響を与えたりするものがあり、これが事故の原因となる場合があります。例えば、水酸化ナトリウム溶液を飲料用のアルミ缶に入れた際、アルミと反応してガスが発生・膨張し、缶が破裂する事故が発生しています。
このような事故を防ぐには、ガラス製、金属製、樹脂製など、保存や輸送の際の容器の材質に注意することが大切です。さらに、小分けする、保管するなどの、取り扱う場面ごとの注意事項も理解しておく必要があります。それぞれの注意点を確認し、従業員に周知しましょう。

【小分けする場合】

  1. ❶元の容器と同じ材質の物を使用しましょう。違う材質の容器に移した場合、徐々に反応が進んで穴が空き、漏洩事故につながる危険があります。
  2. ❷小分け後、品名等を容器に明記しましょう。
  3. ❸強酸性や強アルカリ性の化学物質は、皮膚に重い障害を与えることがあります。必ず、該当の化学物質に適した化学防護手袋を着用しましょう。また、液体が飛び散って目に入ることがあるので、保護眼鏡を着用しましょう。
  4. ❹複数の化学物質を小分けする場合には、物質の取り違えを防ぐため、物質ごとに色や形が違う容器に入れましょう。

【保管する場合】

  1. ❶保管中に万が一漏洩した場合でも、化学反応が起こらないよう、反応する物質同士は接近して保管しないようにしましょう。
  2. ❷消防法による危険物については、種類が異なるものを離して保管しなければなりません。
  3. ❸毒物や劇物を保管する場合は、保管庫に鍵をかけて、作業者以外が取り扱えないようにしてください。なお、毒物や劇物でなくても、危険性・有害性の高い化学物質は、保管庫に入れるようにしましょう。
  4. ❹引火性がある物質を保管する場所の近くで、喫煙等を行うのは危険です。「火気厳禁」と掲示しましょう。
  5. ❺地震に備えて、薬品の落下・転倒防止と、保管庫自体の転倒防止の対策をしましょう。
    床固定の例

【輸送する場合】

  1. ❶外箱には見やすい位置に品名を表示し、「火気厳禁」「取扱注意」「ワレモノ注意」といった必要情報も表示しましょう。
  2. ❷万が一、交通事故が起きても容器が割れないように、緩衝材で容器を包むなどの対策をしましょう。
    緩衝材の使用例
  3. ❸運送会社に、化学物質の危険性・有害性に関するSDS(安全データシート)を配布するなど、物質の詳細と注意事項を伝えましょう。
  4. ❹漏洩した場合の除去の方法や、保護具の着用、事故発生時の対応方法についても運送会社に指導しましょう。

【廃棄する場合】

不要になった化学物質を下水などに流してはいけません。また、中和のため酸性とアルカリ性の物質を混ぜると、有毒ガスが発生する可能性があり危険です。廃棄の際は、産業廃棄物業者に処理を依頼しましょう。

化学物質の取り扱いや、保管、廃棄、輸送についての各注意事項はSDSに記載があります。事前に確認し、必ず指示に従いましょう。