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始業時点検とフィットチェックの重要性

防じんマスク・防毒マスクを安全に使用するために

中川 潔(安全安心株式会社)

労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。

適切な使用で有害物質の吸入を防ぐ

防じんマスクや防毒マスクは、正しく使用されることが重要です。機能が損なわれていたり、不適切な着用をしたりすると十分な効果が発揮されず、健康障害につながる可能性があります。そうした事故を防ぐためには、使用前の点検が非常に重要です。

■点検項目

  1. ❶防じんマスク・防毒マスク共通
    • ・吸気弁、排気弁に変形がないこと
    • ・吸気・排気弁座に変形や異物の付着がないこと
    • ・締め紐に十分な弾力があること
    • ・面体に傷や破損がないこと
    • ・ろ過材(防じんフィルター・吸収缶)が正しく装着されていること
    防じんマスク・防毒マスク点検箇所

    なお、より高い防護性能を有する電動ファン型呼吸用保護具の場合、電池残量が十分にあり、ファンが正常に作動することを確認してください。

  2. ❷防じんマスク
    • ・防じんフィルターに破損や水濡れがないこと
  3. ❸防毒マスク
    • ・吸収缶は製造者が指定する保存期限を超えていないこと
    • ・吸収缶の包装袋に穴あき、破れがないこと(未使用でも穴や破れがあると除毒能力を失う)
    • ・吸収缶を再使用する場合は、異臭がなく、十分な除毒能力があること
    • ・作業場で発生するガスに適応する種類の吸収缶であること

■フィットチェック(装着点検)

高性能な防じんマスクや防毒マスクを使用していても、顔面にフィットしていなければ、顔面と面体の隙間から有害な粉じんやガスが侵入してしまいます。装着時には必ずフィットしているか確認してください。確認方法には陰圧法と陽圧法がありますが、より判断しやすい陰圧法について説明します。

  1. ❶フィットチェッカーを使う陰圧法

    吸気口に市販のフィットチェッカーを取り付けてゆっくり深く息を吸います。空気を吸い込めなければ、フィットは良好です。ただし、勢いよく息を吸うと、面体が変形して正しくチェックできないため注意が必要です。

    フィットチェッカーを使う陰圧法イメージ
  2. ❷手で吸気口をふさぐ陰圧法

    吸気口を手でふさぎ、ゆっくり深く息を吸います。面体が吸い寄せられる、あるいは息が苦しければフィットは良好。ただし、強く押さえ付けながらふさぐと、面体が変形するため注意してください。吸気口が大きく手でふさげない場合には、コピー用紙やポリ袋などを当てて吸気口をふさいでください。

    手で吸気口をふさぐ陰圧法イメージ

フィットチェックは、始業時はもちろん、装着するたびに実施してください。漏れがある場合には位置を調整し、密着する位置を探しましょう。

■フィットしない場合の対応

位置を調整してもフィットしない場合は、顔面と面体の形状が合わないと考えられます。サイズの違うものや装着者に合うものに交換してください。

マスクの点検とフィットチェックを怠ると、健康障害だけでなく命の危険につながる可能性もあります。従業員に適切な指導を行い、正しく使用しているかを確認しましょう。

使用時確認とは別に、年に一度「フィットテスト」が必要な場合があります
https://www.mhlw.go.jp/content/001326189.pdf