中川 潔(安全安心株式会社)
労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。
熱中症の予防
労働安全衛生コンサルタントとして、業界問わず安全で快適な職場づくりをサポート。
安全衛生診断、現場指導や安全教育などを行い、企業の安全衛生レベル向上に努める。
めまいや立ちくらみ、ときには意識障害を引き起こし、命にもかかわる熱中症。 総務省消防庁によると、2025年5~9月の熱中症による救急搬送者数は全国で10万人を超え、2008年の調査開始以降で過去最多となり、同年、熱中症の疑いがある作業者を見つけた際の報告と処置が法令で義務付けられました。
発症後に命を守ることに重点が置かれた法令ですが、熱中症対策において何より大切なのは、発症を未然に防ぐことです。しかし、近年の夏季は非常に暑く、とくに屋外で作業する場合などは、高温環境下での活動が避けられません。
体温が上昇し、汗とともに水分と塩分が失われるため、重要となるのが飲料による水分・塩分補給です。
水道水に塩を混ぜて飲む場合は、水道水500mlに対して食塩0.5g(指でひとつまみ程度)が適量とされています。塩を混ぜる代わりに、飲料水と塩飴を組み合わせてもよいでしょう。
ただし、カフェインを含む飲料(緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、エナジードリンクなど)は利尿作用があるため、逆に身体から水分が失われる可能性があり、水分補給に適していません。利尿作用がない、麦茶、ルイボスティー、ハーブティー、水や白湯などが効果的です。
市販の熱中症対策飲料は、大きく2種類に分けられ、一般にスポーツドリンクと呼ばれるものが「アイソトニック飲料(等張液)」で、経口補水液などの名称で売られているものが「ハイポトニック飲料(低張液)」です。
下の表を参考に、それぞれの特徴と吸収速度を理解し、効果的に使い分けましょう。体温を下げるために、十分冷やして摂取することがポイントです。
なお、アイソトニック飲料には糖質が多く含まれ、身体のエネルギー補給にも適していますが、糖分過多にならないようご注意ください。
ほかに体温を下げる飲料としては、スラリー飲料(シャーベット状の氷が混ざった飲料)が適しており、市販品もありますが、以下の方法で自作することも可能です。
市販されている塩ゼリーを活用するなど、手軽な対策も可能です。
| 種類 | 特徴 | 吸収速度 | 使い分け |
|---|---|---|---|
| アイソトニック飲料 (スポーツドリンク) |
人間の体液と同じ浸透圧を持つ | ゆっくり吸収される | 業務の前や運動の前 |
| ハイポトニック飲料 (経口補水液) |
人間の体液よりも低い浸透圧を持つ | すみやかに吸収される | 激しい労働や激しい運動中 |
熱中症対策として、エアコンによる環境改善やファン付き作業服の活用とともに、作業に適した飲料の摂取に努めましょう。